大腸がんにおける鉄代謝

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大腸がんにおける鉄代謝:バランスのとれたアプローチ

要約

- 大腸がんは世界で最も一般的ながんの一つであり、食生活が鉄とヘムのレベルを上げることが病気のリスクを高めることが知られている。
- 鉄過剰によって誘発される癌形成や細胞の過剰増殖など鉄による腫瘍原性パスウェイは有害である。一方、鉄欠乏もCRCの進展を加速するための環境的リスクファクターや、ゲノム不安定性、治療抵抗性、免疫応答減少などに貢献することがある。
- 体中の鉄レベルだけでなく、腫瘍細胞周辺の鉄代謝調節機構もCRCに大きな役割を果たし、疾患結果に影響を与えると考えられている。加えて、CRC細胞は抗酸化剤遺伝子の発現を構成上有しているため、非悪性細胞よりも鉄依存性細胞死(フェロプトーシス)からの脱出をよりもっとする傾向がある。フェロプトーシスの阻害はCRCが従来の化学療法に対する耐性を増大することに関連する支持的なエビデンスがある。
- この総説は、鉄がCRCでどのような複雑な役割を果たしているか特に焦点を当て、鉄過剰または欠乏が腫瘍の発生と進展に与える影響について解析する。CRC微小環境での細胞鉄代謝の制御を細分化し、CRCでの低酸素状態や酸化ストレス(例:フェロプトーシス)の役割を強調する。最後に、悪性度の高いCRCに対するいくつかの鉄関連プレイヤーを潜在的な治療標的として挙げている。

文献紹介

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37273145